チョコレートのお菓子作りにテンパリングは不可欠です。
通常は温度計を用いて正確な温度管理をすることが推奨されています。
ですが、多くの方が温度計を使わないで簡単にテンパリングができたらいいのにと思っていることでしょう。
実は、温度計なしでもテンパリングを成功させる方法があります。
本記事では、そのような方法や、テンパリングが上手くいかなかった時の原因と対処法について詳しく解説します。
温度計不要で実現可能!チョコレートのテンパリングとその方法について
テンパリングは、チョコレート内のカカオバターの結晶を安定させるために必要な、細かい温度管理の工程です。
温度はチョコレートの種類にもよるのですが、ざっくりと説明すると、湯煎で溶かし40℃くらいになったチョコレートを28℃まで冷やし、再び湯煎でチョコレートの温度を31℃にする作業です。
テンパリング行うことによって、チョコレートの溶ける温度である融点を一定に保つことができます。艶があり、なめらかな口溶けのチョコレートにするための大切な作業です。
温度調整が重要なテンパリングですから、多くの方がテンパリングには温度計が必須だと思っていますが、実は調理用の温度計を持っていなくてもできる方法が存在します。
この記事では、そうした温度計要らずのテンパリングの方法を2つご紹介します。
温度計不要!湯煎でテンパリングする方法
1.チョコレートを溶かす
細かく砕いたチョコレートをボウルに入れて、50〜55℃のお湯で湯煎し完全に溶かします。
一定量の水を沸騰させてから、同じ量の水を加えると、ほぼ50℃〜55℃のお湯がつくれます。
もしくは、沸騰させる途中の、鍋底に泡が出る直前の温度が約50℃ということを覚えておくと役立ちます。
泡が出始めるとおよそ60℃なので、そこから少し冷ますか、泡が出る前に火を止めると良いでしょう。
2.冷やして温度を下げる
氷水を入れたボウルにチョコレートのボウルの底をつけます。
氷水に数秒つける→離してチョコレートを混ぜる、を繰り返してチョコレートを冷やします。
チョコレートがもったりとしてきて、ヘラでボウルの底がきれいにかけなくなったら、適温まで冷えた目安です。
3.温度を上げる
再び湯煎でチョコレートに温度を上げていきます。
湯煎にボウルをつけたり外したりを繰り返し、ゆっくりと温度を上げていきます。
チョコレートにツヤが出て、サラッとしてくるのが目安です。
この時、ゴムベラでボウルの底をかいたらチョコレートがきれいにとれる状態になります。
温度計不要!電子レンジを活用した簡単テンパリング方法
電子レンジを使う方法もあります。
この方法は、100グラム程度の少量のチョコレートをテンパリングしたいときに適しています。
細かく砕いた板チョコを耐熱容器に入れて、500Wの電子レンジで1分30秒(600Wで約1分)ほど加熱します。
このとき、ラップは必要ありません。
加熱の途中、10~20秒ごとに取り出し様子を見てかき混ぜます。
チョコレートの半分が溶け、半分は形が残っている状態になったら、丁寧にゴムベラで均一になるように混ぜて完成です。
チョコレートの熱で他のチョコレートを溶かしていくイメージです。
上手くテンパリングされたチョコレートは、混ぜた後にヘラで垂らすと、途切れずに流れる状態になります。
電子レンジを使うと、湯煎よりも手順が少なく水分が混入する心配が無いので、特にお菓子作り初心者におすすめの方法です。
テンパリングが成功したかどうかの判断方法
テンパリングの結果を確認するには、チョコレートをスプーンやナイフの刃に少量塗って試す方法が有効です。
もしすぐに固まれば、テンパリングは成功していると言えます。
触ってみてチョコレートがくっつかなければ大丈夫です。
3分経過しても固まらない場合は、残念ながらテンパリングは不成功と判断されます。
テンパリングが上手くいかなかった時のチョコレートの扱い方と原因分析
チョコレートのテンパリングが成功しなかった場合にやり直しができるかどうかと、その原因について詳しく解説します。
チョコレートが途中で固まってしまう場合
この問題の主な原因は、チョコレートに水分が入ってしまうことです。
チョコレートには水分の混入を避ける必要がありますので、使用するボウルやヘラに水滴がないか、しっかりと確認しましょう。
また、湯煎を行う際には、ボウルにお湯が入らないように注意が必要です。
この場合、チョコレートが分離してしまった状態ですので、テンパリングのやり直しはもうできません。
ただし、固まってしまったチョコレートは、温かい牛乳や生クリームを加えることで溶かすことができます。
ホットチョコレートやチョコプリン、生チョコなど他のお菓子に再利用することが可能です。
チョコレートに白っぽい模様が入る
チョコレートの温度を急激に下げすぎた場合、表面が白っぽくなったり、白いマーブル模様ができたりすることがあります。
ファット・ブルームと呼ばれる現象です。
このような場合は、再度温度を上げてテンパリングをやり直す必要があります。
氷水につける時間を短くするなどして、温度を徐々に調整するようにしましょう。
また、室温の影響も念頭に置いてください。
冬場では温度が下がりやすくなりますので、室温を25℃前後に暖かくして作業すると良いでしょう。
時間がたっても固まらない
溶かす際の温度が過度に高くなってしまった場合、カカオバターが変質してしまうことがあります。
60℃を超えると変質してしまいますので、湯煎の温度は60℃を超えないようにしましょう。
変質したチョコレートはテンパリングに向かない状態になってしまいますので、他の焼き菓子などに活用してください。
再度湯煎して温度を上げる段階で、温めすぎてしまった場合にも、チョコレートが固まらなくなることがあります。
温度が32℃を超えると、結晶構造が崩れてしまうためです。
このケースでは、テンパリングをやり直すことができます。
温度計なしでチョコレートのテンパリングをする方法のまとめ
この記事では、温度計を使わずに可能なテンパリング方法を紹介しました。
手作りチョコにおいて、温度管理は非常に重要で、特にテンパリングの正確な温度調整が成功のカギとなります。
温度計で測定しながらやるに越したことはありませんが、温度計がないときには、チョコレートの状態を見て判断する感覚を養いましょう。
この記事が、温度計なしでテンパリングを成功させるお役に立てたら幸いです。